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“イルミは「殺し屋」でしょ。「人殺し」じゃないよね。”
目を開ける。
丸い月が登っている。
本当なら、殺し屋って、月のない夜を好むものなのかもしれない。
でも俺は、満月を眺めるのが好きなんだ。
最近は特にそう。
日ごとに満ちて、丸くなった月を眺めるたびに、身体の奥がウズウズする。
一回、二回……とうとう今夜は、六度目の満月の晩だった。
半年。
長かった。
時間の流れをこんなにも意識したのはいつぶりだろう。
もしかしたら、初めてかもしれない。
早く過ぎてくれ、と思うことはあっても、なにかを待ち遠しいと感じることはなかったかもしれない。
かもしれない?
違うな。
待ち遠しいと思ったことなんてなかった。
誰かに会いたいと思ったことも。
声が聞きたいと思ったことも。
今、何してるんだろ、なんて、想像を巡らせてみたことも、これまでには一度だってなかったよ。
ポー。
今度会ったら、俺は君を逃がさない。
抱きしめて、この腕の中に閉じこめて……
まあ、ずっとそうしておくのは無理なんだけどね。
少々強引にでも、側においておこうと考えてる。
今、目の前で女を抱いてる富豪オヤジみたいに、悪趣味な鎖とか、手
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