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「…次…魔武器精製と…使い魔召喚。……第一演習場。」 そう言って教室を出ていく背の低いエルフの教師。 その姿を目で追った後、溜め息を吐く一人の女子生徒。彼女の名はユウ。ユウ・アマザキ。渡が死んだこの世界で、唯一天崎の血を引く者。 しかし、彼女は父の顔を知らない。彼女の父は一国戦争と呼ばれる戦争で人々から魔力を奪おうとした魔剣と共に死んだ。 彼女の父が描かれた絵画はあるものの、肖像画ではなく、風景画の一部として描かれているため、顔がはっきりと描かれているわけではない。その絵を見た時、心底ガッカリした。 「よぉ、魔力なし。お前は何を召喚してくれるんだろうな。」 「…あんたか。知らないよ、そんなの。」 ユウに卑しい笑顔を向けるクラスメートが数人。そう、ユウには魔力が無い。そのことで小学校のころから虐められてきた。今だって変わっていない。ただ…。 「召喚に魔力は関係ないし。ユウをからかってんじゃねぇよ。」 「あ、ウーちん。」 「ウーちん言うな。」 ただ、彼女を魔力とは関係なしに大切に思ってくれている友がいる。ウーちんと呼ばれた彼の名はウォーリア。ウォーリア・ブレイバー。
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