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「おー!メルトか!大きくなったな!」
メルトを抱きかかえて立ち上がる男。事情が解っているメルトとナビ以外の人間は右往左往している。
「さっさと契約を済ませちまおう。」
そう言いながらユウに近づく男。メルトは男の背中にくっついている。
「おい。」
「契約が終わってからだ。」
男に話しかけたナビだが、意味深な言葉を返されて黙る。
「まずは魔力を解放する。異論は無いな?」
「え!?私、魔力あるんですか?」
今まで持っていなかったために虐められていた魔力。それが手に入るのだ。驚くのも無理は無い。
「寧ろ、この世界に魔力の無い人間なんていない。お前は魔力が大きすぎて母体と自身に影響が出るため、胎児の頃に魔力を自ら封じ込めたんだ。」
「そんな…。」
「ほら、始めるぞ。」
「あ、はい。」
ユウの右手を両手で包み込むように掴み、魔力を流す。
「あ、体から魔力が噴き出すから。」
「はい!?ひゃ!?」
ユウの奇声と共に彼女の体から吹き出す魔力。騒然となる第一演習場。魔力が濃すぎて蜃気楼のようになっているのだ。
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