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「あ、ナディ。ちょっと地下室に行こう。」 「え?なんで?」 渡の突然の提案に困惑するナディ。しかし、渡の笑顔を見ると断ることなんて出来ず、渡に手を引かれて地下室へと進む。ぐいぐいとリードするのではなく、優しさをもってナディの歩幅に合わせる渡。地下の物置から何かを取りだした渡。 「布?」 それは大きめの布。いつだか使い魔召喚で使った布よりも一回り小さなものだ。その布には何か魔法陣が描かれている。 「これって何の魔法陣?」 「ん?ナディとこれから生まれてくる俺達の子供を守るための保険みたいなもんかな。」 笑顔だが、どこか真剣味を帯びている渡の目。 「まだお腹大きくなってもないのに、気が早いね。」 「うるさいっての。じゃ、いくぞ。」 「いつでもどうぞ。」 そんな彼を信頼して、なんの疑いも持たずに魔法陣に乗るナディ。渡が魔法陣に魔力を込めると、魔法陣が純白に輝く。 「ん、もういいぞ。」 「うん。」 光が収まり、渡がナディに手を差し伸べる。その手を取って居間へと歩く二人。魔法陣が何を目的としたものかは一切訊かず、もう子供の名前の話をする二人。この家に家族が増えるのはそう遠くは無い。
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