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そこまで言うと、ナディが渡の額を指ではじいた。キョトンとする渡。柔和な笑顔で彼を見るナディ。
「大丈夫。二人とも貴方が思うよりもずっと強いから。」
彼から目を離し、娘たちに目を向ける。彼も釣られてそちらに目を向ける。
「ふははははは!くらえ、むしけらども!」
元気にバケツで蟻の巣に水を注ぐユウ。水没した蟻の巣をじっと見つめる。
「メルト、ギブ!もう、ギブだから!」
風の魔法で虫を次々とミカエルに飛ばすメルト。それほどのスピードではないため、飛ばされた虫達は慌てて逃げていく。
「これは確かに強そうだ。」
困ったように笑いながら三人を見る渡。先程まであった影はどこかに消え去ってしまった。
「私が思ってる強さとは違うけど、…いいか。」
「いいさ。あの子たちが元気でいてくれれば。…ふぁ。」
「眠いの?」
大きな欠伸をする渡。伸びをするが、目は少し眠そうだ。
「久しぶりに休みだし、この日差しだからな。なにより、少し気が楽になった。」
空を見上げて微笑む渡。
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