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「そっか。じゃ、どうぞ。眠たいんでしょ?」
ナディは自分の膝をぽんぽんと叩く。
「ん?あー、うん。それじゃあ失礼して。」
ナディの手元を見てどうぞの意味を理解したのか、少し恥ずかしそうに頬を掻いてから体を横たえる。頭を腿に乗せてすぐに、先程よりも圧倒的に大きな眠気が渡に襲いかかる。
「…。」
「もう寝てるし。」
愛しそうに渡の頭を撫でるナディ。
「眼つき悪いけど、寝顔は可愛いんだよね。」
「ママー!」
独り言をつぶやくと、そこに次女が駆けこんでくる。ナディはユウの唇に優しく人差し指をあてると、渡が寝ていることを伝える。
「じゃあ、ユーも!」
そう言うと、ユウは渡の腹の上で横になって目を閉じる。渡は起きる気配を少し見せたものの、また寝始めてた。
向こうでは何故かミカエルがユウの使っていたバケツをかぶって逃げている。メルトは相変わらずミカエルを玩具に遊んでいる。
「…私も眠たくなってきた。」
縁側に腰かけたまま瞼が重たくなり、やがて船を漕ぎ始めるナディ。
今日のアマザキ一家はとても平和である。
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