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自分に言い寄る兵士と自分のことしか考えていない王様。
誰も自分を助けてくれない。
みんなが見ているのは自分の外側。
ただ一人、内側を見てくれる人は近くにいない。
お姫様は泣きやみません。
そして、お姫様は決心しました。
あの人と話せないならこの城にいる意味は無い。
そう思いました。
見張りが交代する時間を見計らい、お姫様はお城から一人で出てしまいました。
走りました。
ただ走りました。
王様から逃げるために走りました。
お姫様がいなくなっていることに気が付いた王様は、すぐに兵士たちに命令してお姫様を捜させました。
一人の兵士が森を走ります。
布が磨れる音を響かせながら走ります。
綺麗な革靴を泥だらけにしながら走ります。
そして、大きな木の根もとで眠っているお姫様を見つけました。
短く笑い、お姫様を背負って歩き始めました。
兵士がお姫様を背負ってしばらく歩くと、お姫様が目を覚ましました。
もちろん驚きます。
そして、自分と一緒に遠くへ行かないかと誘います。
兵士は首を横に振ります。
お姫様は好きだし、一緒に行きたい。
でも、自分はこの国の兵士だから、と。
二人の会話を物陰で聞く者がいました。
その者もお姫様に思いを寄せる人。
傲慢で、いつも他人を見下すような人でした。
なぜ、あいつが姫の隣にいる。
そこに相応しいのは自分だ。
彼は嫉妬します。
整った容姿をしていましたが、心は醜く歪んでいました。
兵士は王様の許へ行き、お姫様が無事だったことを報告して、お姫様をお姫様が嫌いな鳥かごの中に案内しました。
兵士がお別れを言っても、お姫様は兵士の服を握って離しません。
何度お願いしても放してくれません。
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