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加奈子の日記××月〇〇日
まいこおねえちゃんが、おばあさまに怒られている。
「かなこが近所の店でスリしたって。店主に言われた祖母のわたくしの立場がないのがわかるわよね!?」
「・・・はい」
「納得していないのっ!?姉のあなたの責任だと言ってるのよ!」
バシッ・・・おねえちゃん?打たれた?
「その反抗的な目は何なの?」
「は、反抗なんてしていませ…」
「部屋にいきなさいっ」
バシッビッシッ
おねえちゃんが部屋にきた。
「おねえちゃん?ぶたれたの?」
おねえちゃん、この家がこわいよ。涙がでるよ。ほっぺが赤いおねえちゃんは、わらいながらぶたれてないからと言った。
そして言った。
「黙ってお店から物をもってきたらだめなのよ。わからなかっただよね。でもこれからは、ちゃんとお店の人にきくのよ『これ持っていっていいですか?』って。わかったよね」
優しい姉のほほ笑み嬉しかった。だから、コクンとうなづいた。嬉しそうな微笑みがおねえちゃんの顔に広がって嬉しかったのに・・・。でも、おねえちゃんの目から大きな涙だ出てきた。笑いながら泣いてるのって、すごく不思議だった。
「おねえちゃん、泣いてるの???」
そこまで書いた時だった。
「舞子、何を書いているの?見せてくれる?」
舞子の優しい声の本質を加奈子は本能で感じ取っていた。素直にノートを渡した。思っていた通り、そのノートが夜中の庭で舞子が燃やすのを加奈子はそっと窓から見つめていた。
姉にも見つかってはならぬのだ。加奈子は一冊目のノートを胸に握りしめた。
二十年後。彼女は姉の二十年前の希望を叶えた。廃人のように眠る姉の部屋の横でそのノートは消滅した。
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