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「何処かで聞いたことのある話だな」
「随分ぶった切ったね」
ハハ…と彼は苦笑する。
「そうだ、今日は君に聞いて欲しいことがあるんだ」
「何?」
彼もまた話をぶった切って私と向かい合う。
「このベンチ、どうして設置されたかわかる?」
「?…お前の為にお父さんが設置したんじゃないのか?」
「まぁそれもあるけど…」と彼は続ける。
「このベンチ、作ろうとした段階で君のお母さんが言ったんだ。『一緒に座ったら仲良くなれるんじゃない?』ってね」
「…つまりこのベンチは私とお前のために…」
「そう言うこと」
お母さんはいつも私のことを考えてくれていたんだ。
彼の為に作った…だなんてお母さんに失礼だった。
「じゃあ次…どうして僕がこんな格好をしているかわかる?」
「趣味じゃないのか?」
「趣味と言われれば趣味なんだけど…」
と、狐面を頭に付けて甚平を着ている彼は腕を組んで苦笑い。
「もう一つ、理由があるんだ」
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