第一話

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そして、 ガチャッとドアが開く音と同時に入ってきた人物は… 昨夜公園でオレの腕を掴んだ女性、いや、不審者さんだった。 その女性は数秒無言を貫く。 その空気に耐えられなくなったオレは、 「なにか用ですか?」と冷や汗をかきながらも、頑張って訊いてみる。 ボソボソと女性がなにか言っている。 えっ?とよく耳を傾けると、 「歌手にならない?」と目をギラギラさせて言われた。 「遠慮しときます。」とすぐに返答を返すオレ。 すると女性は、 「なんでよ~。なに!?なにがだめなのよ~。」 とすごい声量で怒りまかせの言葉を発してきた。 特に理由もなかったオレは、 「だって、テレビに出れるほど容姿が良くないし…… それに、両親が了承してくれないだろうし。」 と返答してみる。 ちなみにこのときの仙の容姿は 前髪が目の下まであり、顔が見えないようになっていた。 本人曰く何故ここまで伸ばしたかと言うと 髪を切るのがめんどくさかったらしい… その言葉に女性は、 「大事なこと忘れてたわ!!顔の形は良いと思うんだけどね~。」 「ちょっと前髪上げてみて。」 と立て続けに言う。 このときは仙は、根本的なところ忘れてたんだ……と内心思ったらしい。
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