コーヒーフロート

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初夏と呼ぶには、少しだけ早いこの季節。けれども陽光強く、思わずわたくしは待ち合わせの喫茶店に逃げるように入ったのです。 彼との待ち合わせは2時。まだまだ時間の余裕がございます。 炎天下の中を歩いたので、何か飲もうとメニューを開くのでした。 しばらく眺めた後、わたくしは少し肩を落とし、アイスコーヒーを頼みます。 すぐに届けられたアイスコーヒー。それを見てふうとため息をもらし想うのです。 このきんきんと霜の降りたアイスコーヒーのグラスの縁へ、ましろの綿雪の如きアイスクリンを落としたい―――と。 コーヒーフロート。 あんまり好んで飲まないそれを、今だけは切実に望むのです。カランと氷が奏でます。凛と鳴る水の音。
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