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「部室棟4階左奥…ここか」
ちょっと遠いな。
少しばかり息が切れる。
プラスチックの"文芸部"とだけかかれたプレートはボロボロで今にも壁から落ちそうだ。
それだけ古い部なんだと自分に言い聞かせる。
私は胃を決してドアノブに手をかけた。
「…失礼します」
まず目に飛び込んできたのはおびただしい数の本。
机の上に置ききれず、床の上にまで散乱している。
そして、その山の向こうでは熱い議論が組み交わされていた。
「つまりプリンは消えたってことだろ?」
「プリンが消えるわけないじゃない!どうやって部室にあったプリンが消えるっていうの?」
「いやなんで俺を見るんだ」
「はいはいはいっ!プリンは最初から部室にはなかった!どやぁ」
「お前なのか!?」
「いやなぜそうなる」
「あんぱん食べたい」
…
熱い。
どうやら…私の事に気づいていないようだ。
こほん。
「あ、あのー!」
しん、と静まりかえる部室内。因みに体感温度はぐんぐん下降。
「…それでさ、やっぱりニーチェっていいと思うんだ」
「君はいつもその話だね」
「ツァラトゥストラだろ?」
「やっぱり文豪芥川!」
「あんぱん食べたい」
…えーっと。
私をよそに議論は再開した。
しかも内容がやけにインテリジェンス。
「あれ?お客さん?」
「どうした?道にでも迷ったか?」
「えっ」
どうやら仕切り直しのようだ。
…一体なんなんだ文芸部!
しかしここはのらねば!!…という変な使命感に燃える。
「はい、あの私入部希望なんでs「えええええっ!!!!?!」
なんだなんだ、急に周りを取り囲まれる。
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