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私は自分を恥じる。
何故あの時嫌だと言わなかったのか。理性が、大人へとなりつつある自分がそうさせたのだ。
だから私は大人になりたくないのだ。無邪気でよかった。子供のように、否、子供であるのだから無邪気に嫌だと我が儘を言えばよかったのだ。
詳しいことはわからぬ。お金のことなどわからぬが、それでよかったのだ。
この時の一言で未来を変えることが出来たのにと、後悔する気がしてこわいのだ。
だから自分を恥じるのだ。
このどうしようもなく中性的な自己を、叱責することも出来ないのだ。それほどに私は動揺し、自分の中の自己という極めて抽象的な問題において葛藤している。
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