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閻魔様はもっと呆れた顔をした。
「小町、貴方の言いたい事は何となく分かりますが・・・。何故またそのような事を?」
「何となく。」
私の頭はいつも何かを欲しがっている。なので、よく閻魔様とこうやって話すのだ。閻魔様は非常に正道に厳しい方ではあるが、こういった下らない私の話に付き合ってくれるので私は少なくとも閻魔様の事は嫌いではなかった。
「それはそうと、また向こう側に霊魂が溜まっている様です。貴方の仕事なのですからサボらないで・・・」
「あーはいはい、わかりましたよ。了解致しました。」
閻魔様はもっと何か言いたげではあったが、このままでは長くなりそうだったのでそのまま背を向けた。こうなったら逃げるに限る。
そういえば、少し前に此処に人間の魔法使いがやってきた事があったな。非常に攻撃的ではあったが、何処と無く私に似ている気がする。なんというか・・・その欲深さというものか。あの時は彼女に満身創痍にされたが、それでも少しすっきりした気持ちになっていた私がいた。屁理屈に近くて強引で、それでも何かを知ろうとするあの精神は私の心を踊らしたのである。閻魔様と(一方的だが)下らない話を始めたのはそれからだった。
「閻魔様。」
「あら、今回は逃げないのですか?たまには私の話を受け止めたほうがいいですよ?」
「あたいね、三途の川より広い・・・海を見たいんだ。」
いままでずっと考えていた「海」というもの。三途の川なんで比じゃない海。
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