103人が本棚に入れています
本棚に追加
「二人が伸二の友達?電話で聞いてます!はじめまして、久遠辰巳です」
「はじめまして、神崎と申します」
神崎は、いつもの口調ではなく、〝表向き〟の話し方をしながら、名刺入れから名刺を出して挨拶をする。
来客だからか、伸二に対する態度とは違い、辰巳の口調は、丁寧だった。
「失礼しました、オレも……」
名刺を受け取ると、辰巳は、慌ててポケットから名刺を取り出し、神崎に渡す。
傍らで何気なくみていた椎名がそれを見た途端、あっと声を上げた。
「〝クロス〟のデザイナー?お兄さん」
椎名な台詞に対し、辰巳の表情が和らいだ。
「そうだけど……椎名君は、好きなのかな?」
「ああ、靴とか鞄なら殆ど持ってる。今日持ってきた鞄もクロスの新作だぜ」
「へえ!嬉しいな。君みたいに若い子にも知られてるなんて!」
辰巳は、嬉しそうな笑顔を浮かべ、椎名に向き直ると、右手を差し出した。
椎名は、数秒だけ戸惑いの表情を浮かべたが、すぐに握手に応じた。
最初のコメントを投稿しよう!