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「っていうか、この口調でいいか?堅苦しいの苦手なんだよなー!あ、辰巳でいいから、気軽に呼んでくれよ。神崎さんに椎名、改めてヨロシクな」
笑いながら、そんな台詞を言った。軽いイメージだが、悪い感じは無く、人懐っこい雰囲気を醸し出す辰巳は、三人に椅子を進めた。
間もなくして、三回ノックがあった後、先ほどの使用人の草壁が人数分のお茶を持って現れた。
「有難うな。草壁サン」
「いえ。あの、辰巳様……夕食には、新一郎様もいらっしゃいますので…」
「……ああ、分かった」
「……?」
新一郎という名が出た時、辰巳の表情が厳しくなったのに、彼の正面でお茶を飲んでいた椎名が首を傾げ、隣に座る伸二に目線をやる……彼の表情は、珍しく複雑そうだった。
「ワケあり……なんだよ」
周囲に聞こえないように椎名に耳打ちをする。
それを聞いた椎名は、目を細め、黙り込んでしまったのだった。
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