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「あの子たち、辰巳さんの甥っ子と姪っ子なんですね。良い子たちじゃないですか。仲良し兄妹だし」
「ああ、可愛いだろ?杏里は、素直ないい子だけど……朱里は、少し生意気なんだよ、ま、妹想いのいいアニキだぜ。自慢の二人なんだ」
すっかり双子が気に入った神崎の台詞に対し、そう語る辰巳の表情は、とても優しく、まるで父親みたいに彼らに愛情を注いでる様子が分かる。
「さて、そろそろ、三人が泊まる部屋に案内するよ」
そう言って、辰巳は、三人を連れて遊戯室を出たのだった。
今日から六日間……伸二らは、久遠邸で休暇を過ごす。
楽しく、何気ない日を過ごせると思っていた……凄惨で酷く複雑な事件が起きるなんて、誰も知らなかったのだ。
〝一部〟を除いては。
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