第二話 「久遠家」

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久遠家……さまざまな事業を幅広く行なっており、レストラン、ホテル、娯楽施設など全国に店を構える日本有数の実業家でもある。 伸二の親友、久遠辰巳は、久遠家の次男ではあるが、家のコネを頼らず、友人たちと一緒にデザイン会社を築き、様々な壁にぶち当たりながらも、今では、〝クロス〟というブランドの有名デザイナーとして、知られているのだった。 「素敵ねぇー。若くて才能もあるデザイナーなんて、ちょっと軽い感じするけど……そこが魅力的だし、気取ってないし、いい男だわぁ。伸二の友達とは思えないわー」 パソコン画面を見つめ、うっとりした表情で神崎が素直な感想を述べている。 すっかり辰巳と意気投合したらしい。 三人は、案内された客間で、夕飯までの時間を好きに過ごしており、神崎は、自身のネットワークを使い、辰巳のプロフィールを見ており、椎名は、携帯ゲームに夢中になっている。 「つか、お前の俺に対する評価、低すぎね?」 窓を開け、煙草を吸っていた伸二が、何気なくぼやいた。
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