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「だって、アンタって、波に漂ってるクラゲみたいなんだものー」
まあ、そんなトコ嫌いじゃないけどね、と付け足すと、神崎は、パソコンを閉じた。
一方で、クラゲと称された伸二は、眉を潜めたが、あながち間違っていないのを自覚した為に、何も言わず、煙草の煙を吐いた。
紫煙が風に流され、窓の外にゆっくりと消えていく。
「伸二さんがクラゲなら、兄貴は、狸だろ」
携帯ゲームに飽きたらしく、携帯をソファーに置き、呆れた様な表情を神崎に向け、椎名が言う。 すると、神崎は、気分を害したらしく、ムキになりながら、弟に言い返す。
「失礼ね!せめて、狐とかにしてちょうだい!同じ化かすとかいう意味で言ってるなら、狸にたとえなくてもいいじゃないの!」
「うるせー、デカイ声で言うなよ、キャラ設定が崩れたら面倒なんだろ?滞在中は、そのしゃべり方止めろよな」
椎名は、鬱陶しいというかの様に片手をヒラヒラさせながら、神崎に忠告をした。
神崎は、基本的に他人には、丁寧で社交的な人物像を演じるので、本来の彼を知るのは、伸二らと一部の人間しかいないのだ。
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