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「なあ、伸二さん。夕飯って、何時からだっけ?」
文句を言う神崎を無視し、椎名は、夕飯の時間を伸二に尋ねるが、伸二からの返事がない。それを不思議に思い、彼を見れば、伸二は、窓から見える夕焼けをボンヤリと眺めていたのだった。
「……伸二さん?」
「……」
くわえている煙草の灰が落ちそうになっているのを見て、椎名は、ため息を吐きながら、テーブルに置かれた硝子の灰皿を持って近寄った。
「うお!びっくりした…。どうした?椎名」
突如、差し出された灰皿に驚き、伸二は我に返る。それを見た後、椎名が口を開いた。
「伸二さんは悪くねーよ。勝手に道を踏み外した元助手が悪いんだからな?」
「……」
「それに、辰巳さん。伸二さんを元気づける為に招待してくれたんだろ?心配かけんなよな」
それを言うと、椎名は、ソファーに戻り、再び携帯を触り始める。
それを見ていた伸二は、珍しくポカンとした表情をしていたが、やがて、いつもの表情を取り戻す。
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