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「なあなあ、大将って、探偵なんだって?辰巳兄ちゃんから聞いたんだ!」
朱里が興味深そうに伸二に近寄ってきて、そんな質問をした。
「こら、伸二さんだろ?友達じゃないんだぞ。悪いな、コイツ人様にあだ名つけるクセがあるんだよ」
辰巳が咎めるような口調で朱里に注意する。
「あー、良いって。あだ名なんて何年ぶりだろーな」
気を悪くするどころか、懐かしい気持ちになった伸二は、朱里の頭を軽く撫でた。
杏里は、辰巳の傍らから離れようとしないが、三人に軽く会釈を交わしてくれた。
そんな間にも、朱里は、次に神崎に歩みよってきた。
「なー、神ちゃんは、おれの隣でご飯食べてくれよ。外国の話聞きたい!しーくんでもいいぜ」
「私の事かな?初めてですよ。ユニークなあだ名で呼ばれたのは」
「しーくんって……オレかよ」
神崎だから、神ちゃんらしい、神崎本人も気に入ったらしく、特に嫌がる素振りは見せない。一方で微妙なあだ名の椎名は、呆れてはいるが、とくに文句は口にしなかった。
ふいに、成り行きを見守っていた草壁が朱里に歩みよる。
「朱里坊っちゃん、お客様は、正面の席と決まっているんですよ」
「えー、つまんねーよ」
ふてくされる朱里は、不機嫌そうな声をあげる。
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