第二話 「久遠家」

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「なあなあ、大将って、探偵なんだって?辰巳兄ちゃんから聞いたんだ!」 朱里が興味深そうに伸二に近寄ってきて、そんな質問をした。 「こら、伸二さんだろ?友達じゃないんだぞ。悪いな、コイツ人様にあだ名つけるクセがあるんだよ」 辰巳が咎めるような口調で朱里に注意する。 「あー、良いって。あだ名なんて何年ぶりだろーな」 気を悪くするどころか、懐かしい気持ちになった伸二は、朱里の頭を軽く撫でた。 杏里は、辰巳の傍らから離れようとしないが、三人に軽く会釈を交わしてくれた。 そんな間にも、朱里は、次に神崎に歩みよってきた。 「なー、神ちゃんは、おれの隣でご飯食べてくれよ。外国の話聞きたい!しーくんでもいいぜ」 「私の事かな?初めてですよ。ユニークなあだ名で呼ばれたのは」 「しーくんって……オレかよ」 神崎だから、神ちゃんらしい、神崎本人も気に入ったらしく、特に嫌がる素振りは見せない。一方で微妙なあだ名の椎名は、呆れてはいるが、とくに文句は口にしなかった。 ふいに、成り行きを見守っていた草壁が朱里に歩みよる。 「朱里坊っちゃん、お客様は、正面の席と決まっているんですよ」 「えー、つまんねーよ」 ふてくされる朱里は、不機嫌そうな声をあげる。
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