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「お兄ちゃん、正面に座ってもらったらいいよ。それなら、お喋りできるよ…」
杏里が静かに提案すると、朱里は、一気に機嫌が治る。
「そっか!さすが杏里!あったまいいー!」
そう言って、妹に抱きつくと、神崎に正面に座るように約束をしている。
そんな様子を伸二と辰巳は、優しげに見守る。
ふと、再び扉が開く……全員がそちらに目をやれば、見慣れない男女が佇んでいたのだ。
それを見て、はしゃいでいた朱里は、急に静かになり、杏里の表情は強張る。
辰巳からは、笑顔が消えた。
「旦那様、こちらの方が、辰巳様の親友の須田様とそのご友人でございます」
草壁がサッとした動作でスーツの男性に歩みより、伸二らを紹介する。伸二は、新一郎という人物に目をやる。
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