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「彼女は、旦那様の秘書の若林恵美さんです」
「はじめまして」
草壁が紹介すれば、若林は、丁寧に頭を下げる。
それを見ていた朱里が面白くないという様に頬を膨らませた。
「母さんは、どうしたんだよ。顔を見せにいかなかったのかよ?」
「社長は今、戻られたばかりですので、奥様には……」
「アンタには聞いてないだろ」
淀み無く答える若林の台詞に朱里が大声で怒鳴る。
そんな息子を新一郎は、目線だけを向ける。
「若菜の事は関係ない。朱里、目上の人にそんな話し方をするんじゃない。若林君に謝るんだ」
「……」
父親の厳しいといえる態度と台詞に朱里は、表情を歪めた。傍らでは、杏里が気遣うかの様に朱里に寄り添う。
周囲に険悪な空気が漂う……すると、辰巳が二人の間に割って入ったのだ。
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