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(辰巳、新一郎さんや若林さんに対して、どこか冷たいよな。態度には出してないが…。珍しいな、人を嫌ったりするなんて)
部屋を出る前、新一郎と若林を射る様な目をして見ていた辰巳を伸二は思い返す。
朱里の態度も父親や秘書になついている様に見えない。杏里に至っては、挨拶以外では、二人と口を利かないぐらいである。
「すみません。お見苦しいところを見せてしまって…」
新一郎は、伸二らに丁寧に謝罪をする。
「世話は乳母に任せっきりでしたので、すっかり我儘になってしまいました…。失礼、関係の無い話を……おい、君……三人に何か飲み物を」
新一郎に命じられ、控えているいた若いメイドが慌てながら退室していった。
ふと、静かなメロディが流れた。
「私です。会社からでしょう……少し、失礼します」
携帯の着信音が鳴り、新一郎が鳴り響く携帯を片手に持ち、伸二らに一礼し、部屋を出ていく。
「何なんだ。辰巳さんも朱里も新一郎さんに偉く突っ掛かるな」
「あら、気付いていたの?龍之介」
「あー、あんなけ嫌悪感剥き出しにしてたら気付くぜ。伸二さんが言ってたの、コレか」
神崎の感心した様な声に対して、椎名は冷静に返す。
それを聞いた伸二は、右手で頭を掻いた。
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