第二話 「久遠家」

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(辰巳、新一郎さんや若林さんに対して、どこか冷たいよな。態度には出してないが…。珍しいな、人を嫌ったりするなんて) 部屋を出る前、新一郎と若林を射る様な目をして見ていた辰巳を伸二は思い返す。 朱里の態度も父親や秘書になついている様に見えない。杏里に至っては、挨拶以外では、二人と口を利かないぐらいである。 「すみません。お見苦しいところを見せてしまって…」 新一郎は、伸二らに丁寧に謝罪をする。 「世話は乳母に任せっきりでしたので、すっかり我儘になってしまいました…。失礼、関係の無い話を……おい、君……三人に何か飲み物を」 新一郎に命じられ、控えているいた若いメイドが慌てながら退室していった。 ふと、静かなメロディが流れた。 「私です。会社からでしょう……少し、失礼します」 携帯の着信音が鳴り、新一郎が鳴り響く携帯を片手に持ち、伸二らに一礼し、部屋を出ていく。 「何なんだ。辰巳さんも朱里も新一郎さんに偉く突っ掛かるな」 「あら、気付いていたの?龍之介」 「あー、あんなけ嫌悪感剥き出しにしてたら気付くぜ。伸二さんが言ってたの、コレか」 神崎の感心した様な声に対して、椎名は冷静に返す。 それを聞いた伸二は、右手で頭を掻いた。
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