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「……デケェな」
目的地に着き、伸二の友人宅を見た椎名の開口一番がそれだ。
淡い藍色の屋根にある風見鶏が風を受け、クルクル回っている。窓は、全てがステンドグラスで出来ており、太陽の光を受け、キラキラと輝いている。
その屋敷は、庭だけでも充分な広さがある。
「窓にステンドグラスだなんて……素敵ね!」
「何度見ても、此処だけ別世界みたいだなー」
「何回か来たのか?伸二さん」
「ああ、学生の時に二回ぐらいな」
うっとりする神崎の隣で伸二は、インターホンを押した。
『どちら様でしょうか?』
インターホンから、男性の丁寧な口調が聞こえる。
「久遠辰巳さんの友人の須田伸二と申します。辰巳さんにご招待を受けたのですが…」
『はい、承っております。すぐにお迎えに上がりますので、少々、お待ちを』
伸二が用件を言うと、相手の男性の了承と取れる返事があり、通話が途切れる。その数分後、門が開き、玄関から人がやって来た。
体格のいい壮年の男性……執事の様な身なりをし、温和な表情をした男性は、伸二らを見て、深々と頭を下げた。
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