第一話 「探偵の休日」

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「ようこそお越し下さいました。須田様。私は、当家で執事長をしております……草壁と申します」 「此方こそ、大人数で来てしまって、連れの神崎とその弟の椎名です」 伸二がさっきまでの態度とは裏腹に丁寧な口調で神崎と椎名を草壁に紹介する。 「辰巳様より伺っております。いらっしゃいませ。神崎様に椎名様……さあ、中へどうぞ」 嫌な顔ひとつせず、草壁は、丁寧に挨拶をし、三人を屋敷の中に案内したのだった。 室内も見事なもので、大理石の床には、赤い絨毯がひかれ、天井からは、豪華なシャンデリアがぶら下がっている。 時折、高そうな壷や絵画が飾られているのを廊下を歩きながら、椎名と神崎が目を見開きながら眺めている。 「すっげー。廊下長ぇし、高そうな絵とか壷とか……オレ、初めて金持ちの家なんか見るの」 「廊下だけじゃねーぞ。他にも色々とあるんだぜ?ま、あとで辰巳に案内してもらおう」 はしゃぐ二人を見て楽しくなってきたのか、いつもの様に飄々とした口調で伸二が言う。 そうしているうちに、正面に大きな扉が見え、案内していた草薙がノックを三回したのちに、扉を開け、三人を中に促した。
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