ショコラティエな彼

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3月20日 今日はいよいよあの桜のチョコレートが発売される日 あれからも何度か試作品を食べて意見を言っていたけど、完成品を食べるのは今日が初めて。 納得するものができたから、開店前に来てほしいって言われたんです♪ 「お待たせ、理恵ちゃん。はい、これ」 手渡されたのはお店で売ってるものと同じようにラッピングされたチョコレート 「いただきます♪ …………!?」 「どうですか?」 「すっごく美味しいです!!桜のチョコレートなのにあの葉っぱっぽさが全然なくて、食べやすいです!!」 「よかった。桜が苦手な人でも食べられるように、普通よりも少しベリーを足したんだ。その代わりビジュアルで桜を全面的にアピールしてる。」 「これなら桜が苦手な人でも絶対大丈夫ですよ!!」 「ありがとう。これが完成したのは理恵ちゃんのおかげだね。」 「そんな…あたしはただ自分の好みを言ってただけですよ。」 「でもそれが助けになったのは事実だよ。だから、1番最初に食べてほしかったんだ。それとね、俺と付き合ってくれる?」 ん…? 今なんか幻聴が…? 「理恵ちゃんのことが好きなんだけど、どうかな?」 幻聴じゃ…ない…? 「本当ですか…?」 「こんなことは嘘では言わないよ。まあ返事はわかってるんだけどね。」 そう言う彼はいつもより少しだけ意地悪な笑顔だった。 あたしの気持ちなんてとっくにお見通しだったみたい。 あまーいチョコレートを作る彼は、鞭のように意地悪な一面もあるようで、どんどん夢中になりそうな予感がした。 -END-
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