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 夜に咲き誇る花の群生地――そこが私の居場所だ。  その花の一つを手に取る。作り物じみた、血のように赤い花。星明かりしかなくてもその鮮やかさは褪せることがない。  花弁は一度握り潰されたかのように萎びて、今にも壊れそうだ。それでいて涙を流しているかのように濡れて輝いている。  視界を埋め尽くすのは、色こそ違えど似たような花ばかり。人はこれを見て感動するのか恐れるのか、私にはもはや分からない。  風もないのに、花弁とも花粉とも取れる無数の色とりどりの粒が星空に舞う。飛んではまた花の間に落ちて埋もれる。この花畑では、絶えずこのような現象が繰り返されている。  私の手の中にあるこの花はここにしか咲けないもので、故に名前はない。ただ、花言葉はある。それは『癒えぬ悲しみの傷』。私がつけたものだ。  花言葉――彼らはなんて素敵な文化を持っているのだろう。 「――ellan――」  私の名を呼ぶ声がした。どうやら、もう『次』を必要とするらしい。私が声に応えると、足下の一部が星空に変わる。私と声が唱えるのは、忌まわしき祝詞。 『色褪せた世界に束の間の別れを――そして束の間の出会いに酔い知れて――後に知る悲しみの傷を舐め合うことを我は望もう――』  幾重もの精神の虚を眺め積み重ねてきた私は、新たな虚を……悲しみの傷を紡ぐ為の者たちの選定を始めた。 ――Adaptation par l’auteur, d’un souvenir de Himage=452331155.jpg
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