25人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、俺はこんな怪しい奴を泊めたくねえなあ」
「ちょっと、そんな失礼なこと言わないで。こっちが迷惑かけちゃったのに。弟は気にしないで。ひねれく者なの。もし、泊まってくれたら、嬉しいな。久しぶりに料理の作りがいもあるし、街の外の様子とか聞きたいな!」
窓から差し込む光に、二人の金髪がきらきらと輝いていた。イリーナよりアノの方が金髪は少し薄い。同じ色の瞳にイリーナは興味津々といった光を宿し、アノはキリエの方を見てもいない。最も弟の視線は切り裂くように冷たいので、見られていない方がキリエにとっては、有り難かった。
双子の割に男女差のためか、身長比が結構大きい。イリーナがお人形さんみたいに小さいのに対して、アノはキリエよりも更に身長が高かった。
二人は肌も白く、特にイリーナはとてもか弱そうに見える。
アノはそんな姉を心配して、うたぐり深くなっているのかもしれないと、キリエは思う。さっきの追いかけっこから判断すれば、か弱そうというのは、所詮表面上のことだけだろうとも、キリエには思えたが。
イリーナはいいでしょう? と言った風に、キリエを見つめる。その視線に、気弱なキリエは堪えられそうにはなかった。
「それじゃあ、一晩だけ、お願いしようかな」
その言葉によって、イリーナが喜び、アノが不機嫌になったのは言うまでもない。
最初のコメントを投稿しよう!