ハジマリ

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  もし社交パーティーの件で親父が連絡してきたのなら、そのパーティーに桜小路美咲が出席するかもしれない。   最近、そういったものに出席していないからどうだかわからないけど、多分家柄上親父が呼んでいるだろう。 そうなると桜小路家も親子揃って来る可能性は結構高いと思う。   彼女も俺と同い年、もしくはそれ以上の大学生だ。嫌でもこういったパーティーには親の意向で参加させられるだろう。   高月が気にかけていたくらいだ。 別に少しくらいその顔を拝むのも悪くはない気がした。   「また何か別の事考えてたりするでしょ?」   美香ちゃんが一旦手を止めて、疑ってくる。 ああ、本当に女って生き物は勘がするどい。   「いや、ないよ」   「嘘だぁ~」   「ほんと。美香ちゃんの事、考えてた」   「ん~」   美香ちゃんはまんざらでもない様な顔で頬を赤らめた。   「……ほんとに?」   「ほんと」   「……なら許す」   はにかんだ笑顔を見せて、彼女は再びナイフとフォークを動かし始める。   本当に女って生き物は……ちゃんと相手をしてやるとめんどくさい生き物だ。   俺は頼んだブラックコーヒーを全部飲み干して、彼女が食べ終わるのをじっと待ち続けた。  
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