三重院 刹那

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  母さんは生前にモデルをやっていたらしく、複数の雑誌の表紙にもよく載っていてすごく人気があったと使用人から聞いていた。 その母の容姿が俺にも引き継がれたおかげか、自分の顔にだけは自信があった。   ……でもそれだけだ。   特に好きなものがない俺には何もない。 周りに群がる女達の目的は俺の顔だ。   だから、少し優しく甘く囁くだけで簡単に体を抱く事を許してくれた。  最初は興味本位の些細なきっかけだったが、それが幾度にも及んでいった。   自分が通っている学校だけでは飽き足らず、他の高校からわざわざ会いにきた女達、そこから繋がっていった学校の後輩や社会人の女性、人妻など沢山の女を相手にしてきた。   いつしか、小さい頃から付き添ってくれていた若い使用人にさえも、俺は手を出していた。   そうして、猥らで堕落した日々を送っていく内にあっという間に大学生になっていた。   もともと家の方針のためか小さい頃から勉学には励んでいたためにレベルの高い大学にもすんなり入れた。  
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