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「何の話だよ?」
「とぼけるなって。女の話に決まっているだろ」
高月が羨むような顔で見てくる。
こいつは同性の中でも比較的俺に話しかけてくる数少ない男だった。
大学に入って間もない頃、偶然同じ講義で隣の席に座ったのがこいつとの出会いのきっかけだ。
当時、ペンのインクが切れて困っていた時、隣の席にいた高月がその様子に気づいて俺に一本貸してくれた。
「それ貸す代わりに今度女の子紹介してくれ!」
それが彼の第一声だった。
後々聞いたのだが、どうやら俺が女との関係を複数持っている事を知っていたらしく、こいつと友達になって余りもんの女を頂いてやろうと考えていたらしい。
それを知った時は、素直にこいつは馬鹿だなと思った。なんというか、自分の欲に愚直な男だなと。
ただ、そんな割に女を紹介しても手を出さないやつで不思議だった。
いつしか、同じ講義を受けている時は決まって隣に座る変なやつ、というのが俺の認識になっていた。
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