縁談の申し出

9/12
前へ
/368ページ
次へ
【シオン公国公爵邸中庭にて】  シオン公国の中庭は、中央に噴水があり、周りには、木々が植えられている。  全面に芝生が張られ、普段は家臣などが行き来しているが、今は二人の男女の剣を交える音が鳴り響いている。 エリク「ウォォォ」  キンッ ガブリル「甘い!」  ドサッ エリク「ううう」 ガブリル「まだまだですわね。エリク、もう御仕舞ですか。」  エリクは立ち上がったものの、手を膝につき、顔を上げることはできない。 エリク「はぁ、はぁ、はぁ・・・」  対象的にガブリルは息ひとつ乱さず、涼しい顔をしている。 エリク「まだ・・まだだ・・・、もう少し」  再び、剣を打ち合うが、エリクの剣は全くガブリルには届かず、空を切るばかり。  キンッ ドサッ ガブリル「今日の鍛錬はここまでにしておきましょう。エリク、お疲れ様。」 エリク「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・、ありがとうございました。」  剣の鍛錬を終えたエリクのもとに、タオルを持った一人の少女が駆け寄る。 フェイト「エリク様、お疲れ様でした。今日もガブリル様に歯が立ちませんでしたね^^」  エリクは、フェイトからタオルを受け取りながら言う。 エリク「ありがとう、全くだな。俺もまだまだだ。」
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加