「…どうせただの暇潰し。」

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…訳も解らず、顔が熱い。 触れた場所にまだ手があるみたいで、落ち着かない。 「…っ!!!も、行く!」 これ以上コイツに付き合ってると、変になる。 ……気がする。 「…いってらっしゃーい♪…そーだ、ガッコ終わったら部屋においで♪いいことしてあげるよ。」 は? 「………いいこと?」 問おうとしたところで、問題の相手は既に自分が今出て来た建物の中。 影も形も無い。 ……こっちの返事も聞かずに、言いたい事だけ言って消えるたぁ、いい度胸だあの野郎。 かといってわざわざ今追ってまで詳細を問うのも面倒だ。 ……どうせ、相手にとっちゃ特に意味の無い言動だろうから。 “気まぐれな大人”の言葉遊び、子供(ガキ)いじり。 あの男は年下をからかって遊ぶのが趣味のようだから、本気に取っていちいち反応する方が馬鹿だ。 好き勝手な大人への不満は、仕方無く、溜息で押し流す。 ……今の一回で十ぐらい、幸せを逃がした気がする。 気がするだけで、実際人の幸運が溜息なんぞで消えたり消えなかったりするとは。 流石に俺も信じちゃいないが。 「……いいことって何だよ。」 …きっと、たいした事じゃないんだろうけれど。 気まぐれ男の気まぐれ。 いざ自分が学校から戻り、口にしたところで『…アレ?そんな事言ったっけ?』とか、綺麗さっぱり男の頭から消えてる事請け合い。 「………。」 別に決して。 ――決して!期待なぞしてはいないけれど。 そもそも期待とかって何だ?、という感じだけれども。 ………あんな言い方されると、…ちょっと気になる。 重ねて言うが期待はしてない。 帰った頃には忘れられている可能性が高いし、どうせまたあの男は、自分をからかって遊ぶだけだろう事も予想がつく。 けれど、 「…………帰ったら…、ちょっとは顔出してやるか。」 ……なんだかんだで、結局最後は何時も相手の言動に乗せられている。 腹は立つけれど、そんな自分に仕方が無いとも思う。 ----------- 嫌じゃないから。
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