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目が覚めると、真っ先に見えたのは丸い天井。
半球型の珍しい天井を、しばらくぼんやりと眺める。
ここ、どこだろう。
誰かの家?
ずいぶん面白い部屋に寝かされたなあ。
身を任せていた布団から起き上がって見回すと、そこは円柱状にぐるりと壁に囲まれた、フローリングの小さな部屋だった。
何これ。
「――痛っ」
不意に後頭部が軋むような痛みを感じて。
そうしてやっと半分寝ていた意識が覚醒する。
そうだ、私はあの時【オギ】に捕まって、それから……あれは誰かに殴られたんだろうか。
そうだ、【オギ】が「菅」って言ってた。
じゃあ私はその人に殴られて、気を失って、それで……ここは?
木製の部屋をもう一度見回す。
中には私が寝ていた敷布団しか無い。
あとは、一つのドア。
鍵穴が内側にある妙なノブを見て、寒気がした。
恐る恐るドアに触れて、「あのぉ」とまのぬけた声を上げる。
「あの、どなたか……いらっしゃいますでしょうか」
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