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その街の中にちらほら見えるカフェだとか軽食屋だとかを見つけて、私は不健康なごはんを済ませた。
周りはぎゃあぎゃあ騒ぐ男の人と、きゃあきゃあ騒ぐ女の人だけで、そういう人達は初めこそもの珍しげな目を向けてくるものの、すぐに私なんか見えなくなるみたいだった。
あるカフェで、会計のお兄さんが「またおいで」と言ってくれた。
それからそのカフェにばかり行くようになった。
別にそのお兄さんと仲良くなったわけじゃない。
ただ、そう言ってもらえたおかげかそのお店に入る時は、変な緊張をしないでいられた。
そうしてずっと過ごしていた。
「お母さんに好かれたい」と思ったら良かったのかもしれない。
無視されても毎日挨拶をし続けて。
いつもその日あった事を話して。
お手伝いをたくさんして。
学校では勉強を頑張って。
テストでは百点をとって。
ちょっとはお母さんに好かれるように努力すれば、何かが変わったのかもしれない。
だけど、そんなこと思いもしなかった。
私は挨拶も全然しなくなったし、他愛ない事を家で言うこともしなくなった。
お手伝いだって何もしない。
毎日食事代をもらうだけ。
勉強も頑張らないで、テストも成績もお母さんに見せなくて。
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