取り引き

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家では笑わなかった。 学校では初めこそ無理して笑ったものの、ほとんど喋らない私に友達なんてできなくて、そのうち無理をする必要もなくなって。 先生が話しかけてきたときだけ、歪な笑顔を浮かべるだけ。 自分の笑った顔が嫌いだった。 気弱そうな卑屈そうな笑顔を、お母さんに見られたく無かった。 中学に入ってからは学校もさぼりがち。 私に興味が無い街に入り浸って。 誰も私に話しかけない中で、一人で制服を着て歩いた。 私を不自然じゃなく一人でいさせてくれる、あのカフェが一番落ち着いた。 休みがちな私に学校からかかってくる電話に、お母さんは一切出なかった。 そうしたら、先生がわざわざうちに来た。 お母さんは心底面倒臭そうに対応していて、先生が帰った後に私を呼ぶこともしなかった。 私は定期的に休みながらも学校に行くことにした。 もう先生に家に来てほしく無かった。 街をふらつく日と、学校で机に突っ伏す日の繰り返し。 人と話すなんてほとんどしなかったから、そのうち声も出なくなったような気がした。 秋野さんに会ったのは、そんなある日だった。
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