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一体いくら課金したと思っているんだ。一体どれだけ宣伝したと思ってるんだ。一体どれだけ馴れ合ってきたと、時間を費やしたと……クソが。
全部無駄になった。泡となって失せた。一瞬で、勝てる筈だったのに、こんな、こんな、小説を舐めている馬鹿野郎に――っ!
「君は、負けたんだ」
嘘だ。
「僕は小説を推敲し続け、そして、《奇跡》を起こした」
笑わせるな。何を言っていやがる。
「努力の上でしか《奇跡》は起きない筈だよ。少なくとも、僕はそう思ってる」
だから……
「だから、何だって言うんだっ!」
ありがとう。
文芸部部長は穏やか笑みを浮かべ、優しい声色で告げた。
「君のお陰で、小説がどれだけ奥深いかを知れた」
薄々と、気付いていた。
自分もまた、小説を舐めている一人だったんだと。だから、図書室で彼の作品を読んだ時、同族嫌悪というものに襲われたのだと。
さもしい。
頑張っていた。闘いに勝つ為だけに。たったそれだけの為に。
醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い……
「ねえ。友達(ライバル)になろうよ」
膝を着き、自らを蔑む俺の目の前へと、彼は手を伸ばす。
馬鹿馬鹿しいと、そう思わずにはいられなかった。それが、俺の心情であったのだ。
……だが、不思議だ。
それが凄く面白い事のようにも感ぜられるのだ。今まで感じた事の無い、心が浮き立つような嬉々とした気分に、自然と笑みが零れる。
「次は勝つ」
「望む所さ」
俺はその手を掴んだ。
――fin.
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