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踵を返そうとした時でした。
「にいちゃん、どうした?具合でも悪いのか?」
いつの間にか近づいて来ていた少年が、心配そうにアレクの顔を覗き込んできました。
歳の頃は十三、四といったところでしょうか。ハーフアップにした明るい茶髪が動きに合わせてしっぽのように揺れ、大きな瞳はくりくりと一点の曇りも無くアレクを見ています。
フードのついた上着に袖を通し、背負った大剣がなんともアンバランスです。
「い・・・いえ」
面食らったアレクはとっさに、そんな言葉しか返せませんでした。
「なんだ!それなら良かった!あれ?じゃあなんでこんなとこで俯いてんの?」
「・・・それは」
「あ!わかった!!腹減ってるんだろ!!昼時だもんな!!俺もこれから食べに行くんだ、にいちゃんも来いよ!!」
「えっ」
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