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「・・・待ってろ」
「へ?」
そう言ってグスタフは一旦奥に引っ込み、戻って来た時には掃除道具を抱えていました。
「ここと玄関の掃除をしてくれ」
「え?」
「二十分で」
「はい!?」
「スタート!!」
カルメロの合図とともに、強制的に掃除が始まります。
頭を疑問符でいっぱいにしながらアレクは高い所の埃を落としにかかります。両親が亡くなってから早数年、彼は一通りの家事はこなせました。
隣の井戸から水を汲んで来たり、椅子を動かしているうちに時間があっという間に過ぎていきましたが、何とか二十分内に言われたことを終わらせました。
「ふむ」
そのことにグスタフさんは満足げに頷きます。
そして次に、トマトやレタス、パン、ハム、ドレッシングの入った籠をアレクに渡しました。
「これでサンドイッチを作ってくれ。キッチンは奥だ。」
「・・・はい」
何がしたいのかわかりません。わかりませんが、抵抗する理由も気力も無いのでアレクは素直に従うことにします。
パンを切り、トマト、ハムも切り、レタスを千切った後、パンにドレッシングを塗って具材を挟む。それだけの工程ですがグスタフさんに凝視されながらするそれはひどい重労働に感じられました。
「よし」
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