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憧れていんだと思う。 規整な顔立ちに、サラサラの焦げ茶色の髪に、コーヒーみたいな深い茶色の目とか。品のある仕草や、笑った顔に… 全て華々しく輝いて、いつも俺をクラクラさせていた。 「邦ちゃん!」 今思えば、何であんなに図々しく、かつ親しげに話して居られたのか。それはもう、あの人の寛大な心に依るものと言うしかない。 けれど、あの人はいつも笑った。笑ってくれた。俺が名を呼ぶ度に、俺が話をする度に、何を苦にするでもなく、俺を懐に入れてくれた。…だけど 「俺…邦ちゃんなんか、…嫌い」 何であんな言葉をはいてしまったんだろう。 ラビット シンドローム 「祥太(ショウタ)君?」 高校に入りたての頃は、もう数日前の事のようにも思える。高校3年間は早いものだというが、本当にそうらしい。気が付けばあっというまだ。 「え、…あ、悪い。何か用?」 ぽーとそんな事を考えていた俺は、ワンテンポ遅れて俺に話しかけてきた奴、楓(カエデ)に返事をする。 楓は俺の親友だ。 出会った当初から社交性に乏しく、内気な奴だった。こいつと初めて会ったのは、中学のとき。俺が一方的に話しかけて、少しずつ笑いかけてくれるようになった。友達に成り立てだった頃、 『しつこくてウザくなかった?』 と聞いてしまったことがある。楓は 『うんん。内気な僕にいつも話しかけてくれて、嬉しかった。』
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