コール

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4秒たったら、右。 その次は直進。 まっすぐ。 ターンして、また右へ。 荒地と同じで、まだ工事の始まったばかりの造成地は、山肌から削り取られた岩の隙間の砂埃が樹木が切り倒される度に発生する風で舞い上がり、マキの覗くデジタルスコープの鮮明度を下げてしまったが、集中していれば、スコープの向こうの小型のクレーンロボットの行動パターンは読み取ることができた。 オレンジ色の上下の作業服に黒色のジャンパーを羽織って平らな岩に腰を下ろしているマキは、更正プログラムユニットを指で撫でながら、後ろに立っている同僚のカーズが硬質プラスチック弾の装填されている銃を退屈気に回しているのを気にした。 マキの勤めるメンテナンス会社は、どこかの工事現場などでロボットのプログラムがおかしくなった場合などに呼ばれ、迅速に対処をするのが業務である。 対処とは基本的には修理なのだが、プログラムユニットを破壊して新規の物と交換した方が早い場合は、うまくユニットだけを破壊することもある。 実際のところを言えば、更正可能であっても新規ユニットを売りつける方が多いかもしれない。 けれども、マキはそれが嫌だった。
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