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その時、マキは車体の取っ手を掴んでいた手のひらに異常な熱と振動を感じた
車体内部の駆動機関が高速で動き始めているようだった。
このタイプにはそんな機能は無いのだが、改造されてあるとすれば、センサーがマキの体重を障害物と感知したのかもしれない。
車体のスピードが増し、とっさに取っ手にしがみついたが、足がすべって落ちそうになる。
落下して鋭く尖った岩に叩きつけられる恐怖がマキの全身を硬直させたが、それでも力をふりしぼって次の取っ手へ腕を伸ばし、握った。
身体を車体にこすり付けるように登ると、目の前に外部入力装置を見つけることが出来た。
パネルを開けて更正プログラムユニットの端子を接続し、更正をスタートさせようとした時、足首を掴まれた感覚があってマキが下を見ると、車体から伸びた蛇に似たロボットアームが足首に絡みつき、強い力で自分の身体を引き剥がそうとしていた。
足を動かしても外れず、そうしているうちに別なロボットアームがマキの首に絡まり、締め付け、上へ引き始めた。
目がグッと熱くなった。
ギリギリと2本のロボットアームに上下に身体を引っ張られながら、マキは手のひらを叩きつけるように更正プログラムユニットのスイッチを入れることを頑張った。
一瞬、アームの力が緩んだように感じた。
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