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が、運悪く岩に乗り上げた車体が大きくバウンドした拍子に端子の接続が外れてしまい、ユニットは地面へ落下してバラバラになってしまった。
アームが再び力を取り戻してマキを締め上げたが、次の瞬間には外部入力装置は火花を吹き上げコードと小さなプラスチックの破片を散らしていた。
カーズが硬質プラスチック弾を撃ち込んだのである。
車体が停止し、緩んだアームから開放されたマキは地面へ滑り落ちた。
浅い呼吸を繰り返して、時々唾を飲み込みながら状況を把握しようとしているとカーズがゆったりと近づいて来たが、カーズは別にマキの様子を気にすることもなく、それよりも自分がピンポイントで破壊した外部入力ユニットを眺めて、満足そうに笑った。
「言いたいことはわかってる。ありがとう、だろ」
報告書用に破壊したユニットの画像を記録しながら
カーズは皮肉っぽく言ったが、マキは答えず地面に散らばったプラスチックの破片をかき集めて、握り締めた。
あと1秒でも早かったら。
そんなマキの後悔をまるで慰めるように、木々の風が頬を優しくなぜていくのであった。
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