壊れた日常

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「ま、咲輝を護るのも俺一人じゃどうしようもない状況だからな。人間嫌い、なんて言ってられん」 華威は咲輝からペットボトルを受け取り、一口飲みながら言った。 「妹君が大切なのだな」 冴子の言葉に華威は真剣な表情で頷く。 「たった一人の家族だからな」 「…うん」 咲輝も頷き、華威にもたれかかる。 「疲れたか?」 「う…ん」 今にも寝そうになってきた咲輝を膝に寝かせ、華威はテレビを点けた。偶然点いたニュース。その内容に全員が戦慄した。 「学校の中だけじゃないのか」 「…【パンデミック】ね」 華威の呟きに沙耶が反応を示す。 「【パンデミック】?」 孝は知らない単語に首を捻る。 「感染爆発のことだ」 「そう。世界中で同じ病気が大流行してるってこと」 華威と沙耶の説明に孝はなんとか理解する。 「インフルエンザみたいなもんか?」 「みたいなもんね。ただ、もっと質が悪いけど」 過去に起こったパンデミックは感染する人間が死んで居なくなったことで落ち着いた。しかし、今回は違う。死んだ者が別の生きた者を感染させる。 感染する人間が居なくなるということは即ち、人類が死滅することだ。終わるはずがない。
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