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ピンクの髪の女生徒――高城 沙耶【タカギ サヤ】も落ち着き、華威達は職員室に入って一時の休息を得ていた。
「…ちっ」
華威は懐や裾、ポケットから所持していた筆記用具を取り出して机に並べる。先の尖った鉛筆10本、シャープペン3本、ハサミが2つに定規が4つ。カッターが6本にホッチキス2つ。
「欠けた」
カッターの一本をゴミ箱に投げ込む。
「凄い量ですね…」
孝が近づいて来て覗き込む。華威は残りを全て回収し、職員室の引き出しやペン立てを漁り出した。
「まあ、な。普段から持ってんだ。文具は日本人が持てる凶器だからな。それに、これでも半分以下に減ってんだぜ?」
カッターを3つ、万年筆を2本拝借し、裾にしまう。
「凶器……」
「半分以下……」
孝が息を飲む音が聞こえる。他の者も華威に注目していた。
「…何か?」
「いや…何も、無い…です」
「ふ…孝、と言ったな?敬語はいらん」
「え、でも…」
「これからはチームで居る事が重要になるだろう。なら、チームの中に壁を作る訳にはいくまい?」
「チーム……」
話を中断し、華威は椅子に座って水の入ったペットボトルを持つ咲輝の隣に座った。
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