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「も、もしもし??」
始まりは緊張してかける電話。
「はい…」
「光…?」
「ああ、先輩ッスか」
「うん」
「で?」
「もう、1ヶ月だよ??」
「そうッスね」
「学校、楽しい?」
「それなりに」
「テニス…どう?」
「それなりに」
「…ひかる」
「なんスか」
「さみしい……よ」
「………」
沈黙の時。
1秒か、2秒か。
それだけの時間なのにわたしには長く感じてしまう。
大阪から東京に引っ越してから1ヶ月。
光はテニスで忙しいから。って電話も、メールもしないでいた。
……光からかかってくることもなかった。ちょっと不安で、すごく不安で。はじめてかけた電話。 電話のむこうの光は冷たくて(いつもだけど)なんだか、寂しさが増した。
「せん…「はは、ごめんね!!大丈夫!!寂しくないよ!?光もテニス頑張ってね!!ぜんぜん…寂しく、ない…から、あ、べ、勉強しなきゃ!バイバイ!光…」」
「ちょ、せんぱっ!…」
唐突にきった電話。
『寂しくないよ』わたしが光についた、はじめてのうそ。
「ちゃ、んと…笑えて、た…かな」
涙がこぼれて、止まらなかった。
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