浪速のバカップル

2/6
前へ
/24ページ
次へ
「も、もしもし??」 始まりは緊張してかける電話。 「はい…」 「光…?」 「ああ、先輩ッスか」 「うん」 「で?」 「もう、1ヶ月だよ??」 「そうッスね」 「学校、楽しい?」 「それなりに」 「テニス…どう?」 「それなりに」 「…ひかる」 「なんスか」 「さみしい……よ」 「………」 沈黙の時。 1秒か、2秒か。 それだけの時間なのにわたしには長く感じてしまう。 大阪から東京に引っ越してから1ヶ月。 光はテニスで忙しいから。って電話も、メールもしないでいた。 ……光からかかってくることもなかった。ちょっと不安で、すごく不安で。はじめてかけた電話。 電話のむこうの光は冷たくて(いつもだけど)なんだか、寂しさが増した。 「せん…「はは、ごめんね!!大丈夫!!寂しくないよ!?光もテニス頑張ってね!!ぜんぜん…寂しく、ない…から、あ、べ、勉強しなきゃ!バイバイ!光…」」 「ちょ、せんぱっ!…」 唐突にきった電話。 『寂しくないよ』わたしが光についた、はじめてのうそ。 「ちゃ、んと…笑えて、た…かな」 涙がこぼれて、止まらなかった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加