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マイケルも撃って来た。最初は恐怖に任せて撃っていたが、やがてこちらの位置を探るようになった。
それが幸いしてか女は隙をついて逃げた。ただしパニックに陥っていた。多数の銃声の中、冷静でいる方が無理がある。
「マイケルを撃て」
観測手の指示通りマイケルを狙う。誰かが、こっちの位置に気付くとしたら奴が最初だ。
俺の呼吸に合わせ銃のレティクルが上下する。息を吐き吸う。
レティクルの揺れが小さくなる。慣れ親しんだ引き金に慎重に力を込めて行く。
マイケルは動きを止めていた。動いてない的を撃つのは簡単だ。
引き金の抵抗が急に軽くなる。
そして…。
銃のスコープにはマイケルの顔。そこに急に女の顔が飛び込む。
「あぶねえ!」
人差し指を本当にあと少し引いてたら発射だった。
女の完全に錯乱し切った顔。
気を取り直してもう一度マイケルを狙う。
引き金をゆっくり絞る。呼吸を整える。
マイケルに女が体当たりする。
「あいつ!二度も邪魔しやがって!撃たれたいのか!?」
罵声を漏らす。
「落ち着け!スナイパーの精神力はどうした?」
観測手になだめられる。
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