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 人いきれをかきわけた。排気ガス、ざわめき、暗闇。    黒星を抜く。弾丸を薬室に送り込む。    乾いた金属音が響いた。    奴はバスからの飛びおりに失敗した。止めた連中は刑事だ。勘がそう告げていた。    そして通行人のうちのあの女も。    かく乱。女に話しかける。     「あんた刑事だろ?」   「え?何ですか?」   「トボけるな。おれの勘は鋭いんだ」   「きゃあ!チカン!助けて」   「いい加減、刑事だとみとめろ」    警笛。お巡りだ。ふり返る。     「何をしている!やめなさい」    手には拳銃。やるしかない。    黒星。安物の防弾服なら撃ち抜ける。    引き金を引く。お巡りは高価な防弾服を着ていた。    お巡りが撃ち返す。気が遠くなる。意識を手放した。
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