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お巡りの弾丸。しかしおれは無傷だ。ポケットの中身が十発もの弾丸を止めていた。
一発目。財布。
二発目。キーケース。
三発目。ジッポライター。
四発目。コインケース。
五発目。黒星の弾倉。
六発目。ベルトの金具。
七発目。スマホ。
八発目。時計。
九発目。手帳。
十発目。己の肉体。
だがおれは留置所の中だ。お巡りの罠。だが脱出する。
連続誘拐犯マイケル。ダテに誘拐などやってない。
見張り。お巡りの制服。腰には警棒、グロック22。お巡りの必殺武器。
おれは素手。何も持ってなかった。
心理戦を仕掛ける。
「おい。ちょっと良いか?」
お巡り。面倒臭そうにこっちに来る。
「何だ?」
おれは勝利を確信した。次の一手。
「どうかしたのか?」
持てる力をふりしぼり、思い切りお巡りの顔面にツバを吐きかけた。
「なっ!」
人間、ツバを吐かれる方が殴られるよりムカつくと言うデータがある。
「やーい!お前の母ちゃんデーベソ!」
お巡りは腕をまくり上げた。鼻息が荒い。頭から煙。
「こーのスットコドッコイ!もーう許さねーぞ」
カギが開かれた。お巡り。警棒を一閃させた。
「?…手ごたえがない」
「残像だ」
おれはお巡りの背中をとった。うなじに手刀を叩きつける。
オリから出る。
連続誘拐犯としての戦いは始まったばかりだ!
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